【DH-S01】カサマツノライトオ
カサマツノライトオ(Dream Horse Club 所有種牡馬)

“消えゆく血を守る最後の希望”として種牡馬登録を果たした、
希少な存在――カサマツノライトオ。
「人間は先祖から受け継いだ火を守る者である」──アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
その深い想いを胸に、私はこの血統の命を未来へつなぐ覚悟を固めました。
カサマツノライトオは、2002年『アイビスサマーダッシュ』の怪物、カルストンライトオの直系最後の牡馬産駒です。その父系には、今や希少となったゴドルフィン・アラビアン直系(バルブ系)が流れ、2025年時点でその父系を未来に繋ぐ種牡馬となっているのは、カサマツノライトオただ一頭という特別な存在です。
笠松競馬でのデビューから33戦を戦い抜いたタフなキャリアも、2025年に発生したゲート事故を機に現役続行を断念するという不運によって幕を閉じました。けれどその挫折こそが、彼の“命のリレー”へ向かう強い想いの原点となったのです。


苦難と決断──現役引退を経て
2023年、カサマツノライトオはデビュー戦での苦いスタートから、少しずつ地道に歩みを進め、2025年春には勝利を目前にするまでの力をつけていました。
特に、最終戦となった33戦目では、ゴール直前まで手応え十分な走りを見せ、関係者や応援してくださる方々からも「いよいよ初勝利か」と期待が高まっていた矢先のことでした。
レースそのものではなく、“ゲート内”での不安定な挙動により、競走への出走が困難となっていったのです。
ゲート練習を繰り返し、陣営もできる限りの対応を試みましたが、最後までゲートに対する心理的負担を克服するには至りませんでした。
「まだ走れる馬であるのに、走ることができない」。
その状況は、私たち関係者にとって非常に苦しいものであり、何よりライトオ自身の心を考えると、競走生活の継続は酷とも言えるものでした。
悩みに悩んだ末、私たちは「引退」という道を選びました。
しかし、それは“終わり”ではなく、血統と馬の意志をつなぐための新たなスタートでした。
“守る”という挑戦
カサマツノライトオの血統は、日本国内において極めて希少なゴドルフィン・アラビアン直系という系統に属しています。
これは、現代の競走馬のほとんどが“ダーレーアラビアン系”である中で、わずか0.03%未満しか存在しない極めて貴重な父系です。
この貴重な血を守り、次代へと受け継いでいくために──
私たちは、引退したライトオを種牡馬として迎える決断を下しました。
これは経済合理性だけで言えば、リスクのある選択だったかもしれません。
しかし、「この血をつなぎたい」という強い想いを共にする仲間たちの後押しがあり、ライトオ自身も新たな環境に適応し、立派な種牡馬としての道を歩み始めています。
現在、カサマツノライトオは岐阜県の乗馬施設にて、体調管理と並行して新たな役割に備えています。
初年度の交配では、繁殖牝馬を持たない方にもチャンスが届くよう、**共有による「みんなで繋ぐ種牡馬プロジェクト」**として展開を開始。
多くの方々の「守りたい」という気持ちが、この馬を、そしてこの血統を支えています。
守ることは、挑戦であり、創造でもあります。
ライトオを中心に生まれる新たな物語を、ぜひあなたも共有してください。
共有馬主として、一緒に未来を描きませんか?
血統に息づく“命のバトン”―― カサマツノライトオの背景にある物語